CONCEPT
すべては美しさのために…
変わることなく貫かれるミラ・ショーンの哲学
『完全への希求』というミラ・ショーンの
ファッション哲学から生まれてきた
完璧なまでの質の高さと時代を超えて魅了してやまないシンプルなスタイル
オートクチュールの高度なカッティングと縫製技術をふんだんに盛り込んだ最高級プレタポルテ
色彩感覚と、美しさと、エレガンスに対するこだわり
まさに、『ノーブル&グレイシャス・エレガンス』という思想
『ファッションとは、現在に生きることへの追求であり、
真の人生を楽しむ行為である』と語るミラ・ショーン
格調の高さと気品を見事に調和させたコレクションを提案
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INTRODUCTION
「ミラ・ショーン」という名前が表現してきたもの
ファッションに愛されたひとりの女性、ミラ・ショーン。
裕福な貴族階級に生まれ、顧客としてもオートクチュールを愛したミラ・ショーン。なに不自由なく暮らしていたマダムは、その後ファッションデザイナーとして、自らの才覚とセンスで人生を切り拓いてきました。その作品はファッションのみならず、時代の変化によって生まれた新しい女性たちのライフスタイルにも影響を与えました。
意志の強い女性像をイメージさせる明瞭なカットのシンプルなドレス。アーティストとの個人的な交流からインスピレーションを受けた、愛らしくもエレガントなワンピース。そして彼女の描く知的でセクシーな男性像をイメージしたメンズライン。彼女のクリエイティビティが表現する美のエッセンスは、いずれも彼女のパーソナリティを雄弁に語ってくれます。
そして、社交やアートをライフスタイルとし、本質を追い続けた彼女のキャラクターは、いまなお彼女の意志を継ぐクリエイターによって紡がれています。
そんな、キュートでチャーミング、それでいて、力強い信念を眼差しに宿したひとりの女性、マダム・ミラの一面をご紹介しましょう。


新しい女性像を描いたミラ
ミラ・ショーンの基本とも言うべき洗練されたライン、抑え目なボリューム、厳選された装飾、多彩な色使いは、彼女がデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた時から確立されつつありました。オートクチュールの黄金期にあって、イタリアのファッションシーンに確固たるデザインを打ち出します。1965年のフィレンツェで行われたコレクションでは、いまではミラ・ショーンの代表的な素材となったダブルフェイスを用いた「フォンタナ・ドレス」などの作品を発表。彼女の斬新なアプローチはたちまち注目を浴びることとなりました。その背景には、新しい時代へ向けた女性像へのメッセージがありました。





FEATURE 1 際立つ独創的な色使い
ミラのデザインを語るうえで欠かせない要素のひとつが、その独創的な色使い。たとえばデザインを印象づける2色づかいの斜めストライプ模様。複雑な幾何学的デザインに、敢えて新たな色調を用いるという独創的な色彩表現が評価され、ミラのコレクションは多くの支持を集めます。
ローマのグランドホテルで開催された1969年の春夏コレクションでは、アメリカの宇宙カプセルにちなんで名づけられた「アポロブルー」と、ダカールの夕日を連想させる「セネガルイエロー」というファッションからはほど遠い世界観を作品に持ち込みます。当時のエリート主義的なトレンドを意に介さず、ミラは活動的な女性に向けてシンプルな、それでいて上質な気品の中に個性を感じさせる独自の表現を崩しませんでした。

FEATURE 2 プロフェッショナルのためのファッション
1968年の終わりから1969年の初めにかけて、ミラはアリタリア航空と契約します。最新鋭の航空機をアピールするために、客室乗務員の制服にもイタリアン・エレガンスを取り入れることでメイド・イン・イタリーの美とセンスを世界に発信したいと考えたのです。活動的な女性のための服となれば、ミラの右に出る者はいません。
美しいラインと快適な着心地はもちろん、ファッションというエッセンスをユニーフォームという世界で表現しました。さらに、新たな色調である「イタリアグリーン」を生み出し、深いブルーと組み合わせることで初のオーダーメード制服を誕生させたのです。1971年にも、再びアリタリア航空から依頼を受けたミラは、次の制服に「満州レッド」を選択。地上の勤務員には、鮮やかなイエローの制服をデザインしたのです。翌年にはイラン航空の制服をデザイン。1980年代にはACミランの公式ユニフォームを手掛けるなど、企業だけでなくイタリアのカルチャーそのものに対して、ファッションで応えたのです。

FEATURE 3 アートとしてのミラ・ショーン
ミラのデザインの背景には、オーセンティックなアートへのリスペクトがあります。「芸術とは時代を映す鏡。映し出されるものが、今の私の考え方であり、服やその他すべてのものの中に、それは再現されるはず」とは彼女の言葉。ミラのファッションと芸術の結びつきを感じさせます。
1969年1月のショーでは、アートへの想いを告白するかのようなコレクションが発表されました。白いコートヘの差し色はアレクサンダー・カルダーのモビールを連想させ、イブニングドレスにはルーチョ・フォンタナ風の「スリット」と「ホール」があり、インターシャ柄および刺繍のモチーフにはケネス・ノーランドの同心円が描かれていました。また、ゴールドの刺繍が施されたイブニングドレスにはグスタフ・クリムトを連想させる趣向が施されていたのです。彼女は衣服を創作のためのキャンバスと考え、芸術との対話を続けていました。